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MELジャーナル

メディカルロジスティクス

隔離保管について

物理的隔離(ハード面の制御)

返品薬が物流拠点に到着した瞬間、最も危険なのは「良品在庫(販売可能在庫)と混ざってしまうこと」です。これを防ぐため、現場では直ちに以下の物理的措置を行います。

  • 専用エリアへの移動: 返品薬は、通常の在庫エリアから明確に区切られた「返品薬専用エリア」または「隔離エリア」に速やかに移動させます。
  • 物理的なアクセス制限: 隔離エリアは金網やパーティションで囲われ、原則として施錠されます。鍵の開閉は特定の管理者のみに許可され、一般のピッキング作業員が立ち入れない状態にします。
  • 視覚的な明示: 該当する医薬品の箱やパレットに、「返品」「出荷停止」「隔離」といった目立つラベル(赤札など)を貼り付け、誰が見ても良品ではないことが瞬時に判別できるようにします。

システム的隔離(ソフト面の制御)

物理的な隔離と同時に、倉庫管理システム(WMS)やERP(基幹システム)上での制御が必須となります。近年のGDP監査では、このシステム制御が確実に機能しているかが非常に厳しくチェックされます。

  • ステータス(属性)の変更: システム上で当該医薬品の在庫ステータスを「良品」から「保留」や「隔離」に変更します。
  • ピッキング指示の強制ブロック(ハードストップ): 隔離ステータスに変更された製品は、システムが自動的に在庫引当の対象外とします。万が一、作業員が誤って隔離エリアの製品のバーコードをハンディターミナル等でスキャンしても、システム側でエラーを返し、ピッキングが完了しない(出荷指示書が発行されない)ように制御(ハードストップ)をかけます。

権限とプロセスの統制

隔離保管中の製品は、厳密な評価プロセスの対象となります。このプロセスを統制するための権限管理も重要です。

  • 品質責任者による専権事項: 隔離状態にある製品を「良品(再販可能)」に戻す、あるいは「不良品(廃棄)」へとステータスを変更する権限は、あらかじめ任命された品質責任者またはその権限を委譲された特定の品質部門のスタッフのみに限定されます。現場の作業長や営業担当者の判断でステータスを解除することはシステム上不可能です。
  • 隔離中の評価作業: この隔離期間中に、前回のコラムで触れた「連続した温度記録のデータ検証」「外箱の破損や改ざん痕の有無の目視確認」「使用期限のチェック」が行われます。

これらすべての確認が完了し、品質責任者が「品質に一切の問題がない」と科学的根拠に基づいて承認した場合のみ、システムのステータスが「良品」に戻され、物理的にも隔離エリアから通常のピッキングエリアへと戻されます。

作成 :薬剤師 菅沼一茂

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