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メディカルロジスティクス

医薬品GDP 品質責任は丸投げできない:サプライヤー管理と監査

こんにちは。

今回はサプライチェーン全体を巻き込んだ品質保証の要となる「物流委託先(サプライヤー)の管理と監査」について考えたいと思います。

「業務」は委託できても「責任」は委託できない

現代の医薬品サプライチェーンにおいて、製薬企業が自社のみで配送から倉庫管理までの全行程をカバーすることはほぼ不可能であり、専門の物流業者や倉庫業者へのアウトソーシングが不可欠です。

しかし、GDPにおける最も重要かつ厳しい原則は、「物流業務そのものを外部に委託することはできても、医薬品の品質に対する最終的な責任を委託先に丸投げすることは決して許されない」という点です。

委託先のトラックで温度逸脱が起きたり、委託先の倉庫で製品が盗難に遭ったりした場合、規制当局から責任を問われるのは、業務を委託した製薬企業(製造販売業者)自身となります。そのため、自社の品質システムの一部として委託先を厳格に管理・監督する義務が生じます。

サプライヤー管理の3つのステップ

委託先を管理するためには、主に以下の3つのステップを踏む必要があります。

  1. 契約前の適格性評価 業務を委託する前に、相手方の企業がGDP基準を満たす設備、人員、財務基盤、そしてコンプライアンス意識を持っているかを事前に調査します。過去の行政処分歴や、必要な業許可(ライセンス)が有効かどうかの確認もここで行われます。
  2. 品質取り決めの締結 通常の「業務委託契約書(費用の支払い等に関する契約)」とは完全に切り離し、品質保証のみに特化した契約を結びます。 「温度逸脱が起きた場合、何時間以内に誰に報告するか」「監査の受け入れ義務」「教育訓練の実施義務」などを詳細に文書化し、両者の役割と責任分界点を明確にします。
  3. 継続的なモニタリングと定期監査 契約して終わりではなく、定期的なパフォーマンス評価(KPIの確認など)を実施します。また、リスクの高さに応じて、1〜3年に1回の頻度で委託先の施設に直接赴き、SOP通りに業務が行われているかをチェックする実地監査を行います。

GDP最大の盲点:「再委託(孫請け)」のリスク

委託先管理において、実務上最もトラブルになりやすいのが「再委託(サブコントラクト)」の扱いです。

例えば、製薬企業が大手物流業者A社に配送を委託したとします。しかし、A社が地方の配送をカバーするために、地場の中小運送業者B社(孫請け)に業務を再委託するケースは物流業界では日常茶飯事です。

GDP基準において、委託元(製薬企業)の事前の書面による承認なしに、委託先が業務を第三者へ再委託することは固く禁じられています。 もしB社が温度管理のルールを知らずに医薬品を運んで品質事故を起こせば、サプライチェーン全体の信頼が崩壊するからです。委託元は、再委託先であるB社に対しても、A社と同等のGDP要件が満たされているかを評価し、管理の網を広げなければなりません。

サプライヤー監査の目的は、委託先の粗探しをしてペナルティを与えることではありません。両者が同じ目線で品質への意識をすり合わせ、患者さんの安全を守るための「強固なパートナーシップ」を築くことこそが、監査の真の目的です。

作成 :薬剤師 菅沼一茂

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