医薬品GDP 盗難や偽造薬
医薬品GDPでは、偽造医薬品の流入や輸送・保管中の盗難を防ぐため、「取引先」「施設」「輸送」「製品識別」「異常時対応」の5つの側面から厳格なセキュリティ要件が定められています。
取引先の適格性確認
非正規ルートからの購入や、反社会的な事業者への転売を防ぐため、取引を開始する前に相手方の正当性を必ず検証します。
- 許可証(ライセンス)の確認: 医薬品の製造販売業者、卸売販売業者、薬局、病院などの公的な業許可証を直接確認し、最新の状態にあるかを定期的に更新管理します。
- 正規ルートからの調達限定: 原則として、製造販売業者または正規に認定された卸業者からのみ調達し、不審なブローカーや出所不明の在庫は買い取りません。
保管施設の物理的セキュリティ
倉庫や配送センターでの盗難・不正侵入・不正混入を防ぐための対策です。
- 厳格な入退室管理: 従業員および外部作業員(清掃、保守業者等)の出入りをICカードや生体認証、監視カメラ(CCTV)で記録・監視します。
- アクセス制限エリアの設置: 医薬品保管エリアへは許可されたスタッフのみが入場できるように区分けします。
- 盗難ハイリスク品の隔離保管: 麻薬、向精神薬、高額な抗がん剤やバイオ医薬品などは、施錠できる専用保管庫やケージ内で管理します。
輸送中のセキュリティ対策
移動中は最も盗難や改ざんのリスクが高まるため、車両と運用の双方にセキュリティを講じます。
<対策区分>
<具体的な要件・取り組み>
車両セキュリティ
荷台の施錠徹底、GPS位置追跡装置の導入、リモート施錠/エンジン停止機能の搭載
ルート・停車管理
停車場所(セキュリティが確保された監視カメラ付き駐車場)の指定、
不必要な落寄りや長時間の停車の禁止
シール
トラックの扉やコンテナにシリアル番号付きの「改ざん防止封印(セキュリティシール)」を
取り付け、到着時に破損・開封痕がないかを照合
製品レベルの改ざん防止とトレーサビリティ
製品そのものが偽物とすり替えられたり、箱が開けられたりしていないかを検知する技術的要件です。
- 改ざん防止包装: 封印テープやフィルムラッピングなど、一度開封すると元に戻せない・痕跡が残る仕様(ISO 21976等の規格)を採用します。
- シリアル化: 最小包装単位ごとに固有の「2次元コード(GS1 DataMatrix等)」やシリアル番号を付与します。流通段階でのスキャンにより、真偽の自動検証や追跡(トラック&トレース)を可能にします。
疑義製品(疑似薬・偽造薬)の隔離と報告手順
不審な医薬品やパッケージの異常を発見した際の、迅速なスクリーニングと遮断のプロセスです。
- 物理的・システム的隔離: 偽造の疑いがある製品や、梱包が破損して改ざんが疑われる製品を発見した場合、誤って出荷されないよう直ちに鍵のかかる専用の隔離保管場所に移動し、在庫管理システム上でもロックを掛けます。
- 行政・製造販売元への迅速通知: 偽造薬である可能性が高いと判断された場合、管轄当局(厚生労働省/PMDAなど)や元の製造販売業者へ遅滞なく連絡し、サプライチェーン全体への被害拡大を防止します。
作成 :薬剤師 菅沼一茂
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