医薬品GDPの要:厳格化する温度管理とコールドチェーン
前回のコラムでは、GDPが「流通・物流のプロセスにおける品質保証基準」であること、そしてその重要性が高まっている背景について解説しました。
本日は、GDPにおいて最も注視されているテーマの一つ、「温度管理とコールドチェーン」について深掘りします。
単なる「冷蔵」ではない、医薬品の温度管理
バイオ医薬品やワクチンなど、温度変化に極めて敏感な製品が増加する中、製造から患者さんの手に渡るまで、一貫して定められた温度を維持する「コールドチェーン」の構築が必須となっています。
医薬品の温度帯は、主に以下のように分類され、それぞれに厳格な管理が求められます。
- 冷所保存(2〜8℃): ワクチンやインスリン製剤、抗体医薬など。凍結させても品質が劣化するため、冷やしすぎにも注意が必要です。
- 定温・室温保存(15〜25℃等): 近年GDPにおいて特に管理が厳格化している領域です(CRT:Controlled Room Temperatureと呼ばれます)。日本の猛暑や寒冷地での輸送においては、この「室温を一定に保つ」ことが非常に難密な課題となります。
- 冷凍・超低温保存(マイナス20℃〜マイナス70℃以下等): mRNAワクチンや一部の特殊なバイオ医薬品など。ドライアイスや特殊な保冷容器(液体窒素など)を用いた高度な管理が求められます。
「記録がないものは、実施されていないのと同じ」
医薬品GDPの根底には、「記録がなければ、それは実施されていない」という大原則があります。
つまり、輸送や保管において「適切に冷やしていました」と口頭で主張するだけでは不十分です。データロガーなどを活用し、「全行程において、指定された温度帯から一度も逸脱していないことを、連続したデータとして証明し続ける」ことが求められます。
外的リスクとの戦い
医薬品のサプライチェーンには、温度逸脱を引き起こすリスクが潜んでいます。
- 空港でのターマック(駐機場)時間: 航空機への積み下ろしの際、直射日光の当たる滑走路に貨物が置かれる時間は、最も温度逸脱が起きやすい魔の時間帯です。
- 日本の過酷な四季: 真夏のトラック庫内は50℃を超え、冬の寒冷地では氷点下になります。これに耐えうるアクティブ(電源を用いた温度制御)またはパッシブ(断熱材や保冷剤を用いた温度制御)な包装・輸送手段の選定が不可欠です。
- 積み替え時のタイムラグ: 倉庫からトラックへ、トラックから荷捌き場へ。環境が変わる結節点(ノード)での温度管理の分断を防ぐ必要があります。
温度管理は、単に「高性能なクーラーボックスを使えばよい」というものではありません。その設備や環境が本当に指定の温度を保てるのか、あらかじめ科学的に検証し、証拠を残すプロセスが必要です。
作成 :薬剤師 菅沼一茂
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丸総が実現する「流れ続ける物流」
株式会社丸総では、以下を核とした医薬品物流を構築・運用しています:
- 温度帯別対応(2〜8℃、15〜25℃)の厳格管理
- リアルタイム可視化と履歴追跡(トレーサビリティ)
- BCP設計支援(代替ルート、緊急便、優先出荷)
医薬品が「ない」では済まされない世界だからこそ、制度も物流も“想定外”に備えることが必要なのです。
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