医薬品GDPの手順書追加時の注意事項
医薬品GDPに基づく業務において、手順書に新しい項目を「追加」する作業は、単なる文書の書き換えではありません。
医薬品の品質と安全性を担保する品質マネジメントシステムの一部を変更する行為となるため、厳密なルールに従って進める必要があります。
ここでは、現場の担当者や責任者が手順書を追加・改訂する際に陥りやすい落とし穴と、必ず守るべき注意点を解説風にまとめました。
手順書の追加時の5つの重要ポイント
手順書に新たなルールや工程を追加する際は、以下の5つのステップを確実に踏む必要があります。
「変更管理」のプロセスを通す(いきなり書き足さない)
GDPにおいて最も重要な概念の一つが「変更管理」です。現場の判断で勝手に手順書にルールを書き足すことは重大な逸脱(違反)となります。
- 注意点: 手順を追加することで「他の業務に悪影響が出ないか」「品質リスクが高まらないか」を事前に評価(リスクアセスメント)し、品質保証部門などの責任者に「変更申請」を提出して承認を得る必要があります。
文書管理とバージョンコントロールの徹底
追加が行われた新しい手順書は、正しく管理・配布されなければ現場が混乱します。
- 注意点: いつ、誰が、何の目的で追加したのか「改訂履歴」を必ず明記します。また、バージョン(第○版など)を更新し、現場にある古い手順書は確実に回収・廃棄して、新旧の混在を防ぎます。
他の手順書や上位文書との「整合性」を確認する
QMSは複数の手順書が連動して機能しています。一つを追加したことで、別のルールと矛盾が生じることがよくあります。
- 注意点: 最上位にある「品質マニュアル」や、関連する他のSOP(例:温度管理の手順を追加した場合、異常時対応の手順書と矛盾がないか)と照らし合わせ、システム全体での整合性を確認します。
施行前の「教育訓練」と記録
完璧な手順書を追加しても、現場のスタッフが知らなければ意味がありません。GDPでは「手順を知っていること」を客観的に証明する必要があります。
- 注意点: 新しい手順書の運用開始日(施行日)より前に、関係する全スタッフに対して教育訓練を実施します。そして、「誰が・いつ・どのような教育を受けたか」の記録を必ず残します。
CAPA(是正措置・予防措置)との連動
手順書の追加が、過去のトラブルや逸脱(温度逸脱、誤配送など)の再発防止を目的としている場合、その効果を後から確認する必要があります。
- 注意点: 「手順を追加して終わり」ではなく、一定期間後に「追加した手順が現場で正しく運用され、トラブルが防げているか」を評価・レビューする仕組みを持たせてください。
【まとめ】 手順書追加時のセルフチェックリスト
作業の抜け漏れを防ぐため、以下のチェックリストをQMSの運用に役立ててください。
<チェック項目 > 具体的な確認内容 GDP上の目的
<変更管理>
事前に変更管理の申請を行い、リスク評価と承認を終えているか
想定外の品質低下・トラブルを防ぐ
<文書管理>
改訂履歴が記載され、施行日が明確になっているか
文書のトレーサビリティを確保する
<旧版回収>
現場に古い手順書が残らないよう、回収の手順が組まれているか
現場での誤作業(新旧混同)を防ぐ
<整合性>
関連する他の手順書や品質マニュアルと矛盾していないか
品質システム全体の破綻を防ぐ
<教育訓練>
施行日より前に該当者へ教育を行い、その記録(サイン等)を残したか
現場での確実な実行を担保する
大事な事
監査(査察)において、手順書の中身そのものよりも追加・改訂した際の手続き(変更管理・教育訓練の記録)が適切に行われているか」が非常に厳しくチェックされます。追加作業は常に「記録に残すこと」を意識してください。
作成 :薬剤師 菅沼一茂
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